2011年
2月
19日
土
「プロのスタートラインは天才である」。この言葉は私が選手としてドイツ(旧西ドイツ)に滞在したときに指導者から聞かされた言葉である。一言で言えば、「天才」しか「プロ」(トップアスリート)にはなれないという残酷な宣言である。しかし、その指導者はこの文言の後に重要な一言を付け加えてくれた。「天才を認知するための最も重要な作業は、選手個々の『努力』である」、と。この言葉は、指導者をしている現在、私の中の重要なキーファクターとなっている。
私は指導者になって以来、さまざまなカテゴリーを見てきた。そして数多くのトップアスリートを輩出することにも成功してきた。このことは常に選手個々の「天才」を引き出す作業に従事してきた結果であり、『努力』の方法と必要性が重要であることの証明である。しかし、『努力』ほど難しいものはない。間違えた方法を辿れば、全てが無駄になってしまうからである。ここに指導者の重要性がある。具体的には、個の資質をどう見極めるか、どのような環境を与えるか、そしてどのようなアドバイスを与えていくかが重要になってくる。
しかし、少年期は一律のメニューや負荷で選手の成長を図ることは難しい。なぜなら個々の身体の成長に差があるからにほかならない。よって選手個々の身体の成長をしっかり把握し、練習の内容や試合の起用方法にも十分な配慮をする必要がある。その上でどのようなメニューと環境を与えるかが少年指導者の腕の見せ所といえよう。
最近、選手たちに大きな変化が見られる。自らの衣服をきちんとたたみ、バックを整え、アップシューズを並べて揃え、練習・試合に臨んでいる。そして、自らアップもはじめている。サッカーへ取り組むためのこれらの姿勢の変化は、『努力するという才能』を開花させるための大きな第1歩といっていいだろう。
これからの選手の成長をますますバックアップしていきたいと感じる今日この頃である。